肥満遺伝子検査は、国内外の最新の研究により構築された質の高い科学的根拠に支えられています。
解析部位について
・FTO(脂肪量及び肥満関連)遺伝子 rs1558902
・FTO(脂肪量及び肥満関連)遺伝子 rs9939609
・ADRB3(β3アドレナリン受容体)遺伝子 Trp64Arg多型(rs4994)
・UCP1(脱共役タンパク質1)遺伝子A-3826G多型(rs1800592)
・ADRB2(β2アドレナリン受容体)遺伝子Arg16Gly多型(rs1042713)
解析方法について
マスアレイ法またはPCR-CTPP法によるSNPs(一塩基多型)解析
(※解析方法は基本はマスアレイ法によりますが、補完的にPCR-CTPP法も使用する場合がございます。)
主として、Peer Review Journalに掲載された論文のうち日本人を対象として行われた観察研究を中心に検索し、それらのデータを採用した。その中には、京都府立医科大学の研究グループ、京都大学の研究グループ、理化学研究所の研究グループなど複数の研究グループによって得られた結果に基づいています。
肥満の発症に遺伝素因が関与していることは疫学的調査により実証されています。ヒトの肥満度を表す体格指数に、体重と身長の関係から算出されるBMI(Body mass index)がありますが、このBMIを規定する要因として、遺伝素因が約67%寄与しているという報告もあります。これまでの複数の研究から肥満発症には遺伝素因がかなり重要であることが示唆されています。
本遺伝子検査の対象となっているFTO遺伝子は、2007年にSNPを用いたゲノムワイドな相関解析(GWAS)により、肥満関連遺伝子として同定されました。FTO遺伝子の肥満感受性アレル保有者では、新陳代謝が抑えられ、エネルギー消費効率が低下し、食欲を抑えるための機能が働きづらくなり、カロリーの高い食品を好む傾向が強くなり、その結果、BMIが大きくなる傾向があると考えられています。
また、本遺伝子検査の対象となっているADRB3遺伝子は、主に、褐色脂肪組織と白色脂肪組織の両方の脂肪組織で発現し、褐色脂肪組織での熱産生と白色脂肪組織での脂肪分解の調節に関与することが報告されています。1995年、ADRB3遺伝子のTrp64Arg多型が、アメリカアリゾナ州に住むピマ族で報告され、内臓脂肪型肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病の早期発症に関与していることが報告されました。その後、我が国の研究グループにおいても本遺伝子多型が日本人の約34%という高頻度で存在し、本多型保有者は、非保有者と比較して安静時代謝量が顕著に低下し、減量困難性をもつことが報告されています。
また、本遺伝子検査の対象となっているUCP1遺伝子は、エネルギー産生装置であるミトコンドリアの内膜に存在する熱産生タンパク質をコードし、本タンパク質は、特に褐色脂肪組織での熱産生に大きく関与していることが報告されています。UCP1遺伝子の5‘上流-3826番目のAからGへの多型(A-3826G多型)は、体脂肪の蓄積やBMIの増加と関連することが報告されています。我が国の研究グループにより、この多型は日本人の約16%に存在し、本多型保有者は、非保有者と比較して安静時代謝量が顕著に低下し、通常の食事療法では減量効果が弱いとされています。
さらに、本遺伝子検査の対象となっているADRB2遺伝子は、主に、心臓、気管支平滑筋、前立腺などに発現する一方、脂肪組織にも存在し、脂肪分解にも関与していることが報告されています。我が国の研究グループにおいて、ADRB2遺伝子のArg16Gly多型を保有する日本人は約16%存在し、食事運動療法後、本多型保有者は、非保有者と比較して安静時代謝量が顕著に亢進し、痩せやすいことが報告されています。
FTO(脂肪量及び肥満関連)遺伝子は、元来、脂肪量及び肥満に関連する遺伝子として見出されrs1558902とrs9939609の2か所の一塩基多型に関し、変異型の人は標準型の人と比べてBMIが高くなる傾向があることが複数の研究で報告されています。同様にADRB3(β3アドレナリン受容体)遺伝子は、カテコールアミンによる褐色脂肪組織での熱産生によるエネルギー消費、白色脂肪組織での脂肪分解による体脂肪量減少に関与し、本遺伝子のTrp64Arg多型(rs4994)がArgに変異した人では、褐色脂肪組織での熱産生によるエネルギー消費が低下し、安静時代謝量の低下により、減量が困難であるとが複数の研究より明らかになっております。また、UCP1(脱共役タンパク質1)は、交感神経刺激時の褐色脂肪組織における熱産生に関与し、本遺伝子の5’上流-3826 番目のAがGに変異するA-3826G多型(rs1800592)がG型の人では安静時代謝量が低下しており、食事療法に対する減量効果が鈍いことが複数の研究より明らかになっております。さらに、ADRB2(β2アドレナリン受容体)遺伝子は、主に心臓、気管支平滑筋、脂肪組織で発現しており、脂肪分解に関与し、Arg16Gly多型(rs1042713)がGlyに変異した人では、脂肪分解能が亢進し、Arg ホモ型の人より安静時代謝量が亢進し痩せやすいことが報告されています。このように上記5種の遺伝子多型が、これが最終的に肥満リスクの個人差に影響を与えると考えられ、これらの知見を覆す十分な反証・反対意見は現在のところ見当たりません。
以下のリンクをクリックいただくと、検査結果レポートの見本をご覧いただけます。
●肥満遺伝子検査 結果見本
以下のリンクをクリックいただくと、同意書および確認書をご覧いただけます。
●肥満遺伝子検査 同意書
●肥満遺伝子検査 確認書(中1~19歳)
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